かれこれ、300年ほど続く、栗山家。もともとは少し南(今でいう紀中あたり)からはじまったそうですが、いつの頃からか貴志川に移り住み、農業を営んできました。
高野山の西麓から流れる清らかな水と、長い年月をかけて風化した段丘の土。
父は、研究者としてこの水や土と向き合ってきました。そして今も現役で、その研究を続けています。貴志川で育つ作物が、どうすればもっと美味しくなるか。その美味しさを、もっと多くの人に届けられないか。父が今なお現場に立ち続けているのは、「この味を届けたい」という純粋な思いからです。
かたや、代表の息子は、東京中心に中小企業のIPOやM&A、資金調達といった仕事に携わってきました。そこでの仕事は、数字を整えることではなく、「この会社になぜ価値があるのか」を、投資家や市場に向けてわかりやすく伝えることでした。良い事業をしていても、それが伝わらなければ、価値として認識されない。逆に、伝え方ひとつで、同じ事業がまったく違う評価を受けることもある。そういう現場を、何度も見てきました。今、その「価値の伝え方」を扱う仕事を、貴志川という土地とブランドのために行っています。
貴志川に戻り、メロンという小さな一玉に向き合ったとき、同じ問いが浮かびました。
この土地で採れたという事実に、どんな価値があるのか。それをどう伝えれば、この土地そのものの価値として、多くの人に届くのか。
出した答えが、「貴志川メロン」を誰か一社の商標にしないという選択でした。企業の価値を伝える仕事も、地域ブランドを広める仕事も、根っこは同じです。何かを独占して守るのではなく、価値をわかりやすい形にして、多くの人と分かち合う。そうすることで初めて、本当の意味で広がっていくのだと思います。
父が今も土地と向き合い、その美味しさを追い求め、息子がその価値を言葉にして届ける。私たちがしているのは、結局、その繰り返しなのかもしれません。
これからも、栗山物産は、貴志川という土地そのものの価値を、わかりやすく、伝え続けていきます。